

心臓ピクニック
「心臓ピクニック」は、生まれてからずっと私たちの生命を支えるために休むことなく動き続けている心臓を、身体の外に出して感じ直すワークショップです。自分自身の心臓はどんなふうに動いているのか、手のひらの上に載せてじっくりと味わい、また運動したり寝転んだりしながらその変化を確かめ、さらに他の参加者と心臓を交換してその違いを感じながら対話を試みてみます。
「心臓ピクニック」のユニークな点は、心臓の動きを、聴覚や視覚に置き換えて理解するのではなく、動きそのものとして体験するところです。この生々しい感覚を手がかりに、自分自身や目の前にいる人、まちを行き交う夥しい人々が、それぞれひとつの心臓を持ち、生き物として存在しているという事実を想像してみます。このような形で、都市で生活している私たちが、あらためて<生命>と出会う機会を創出できればと考えています。
このプロジェクトは、「Project HEREing Loss」の延長で、21_21 DESIGN SIGHTの展覧会「佐藤雅彦ディレクション“これも自分と認めざるをえない”展」の作品を考えるところからはじまりました。メンバーは、渡邊淳司、川口ゆい、坂倉杏介、安藤英由樹。2010年の初開催以降、各地で時折ワークショップを重ね、その度に少しずつ機材をリファインしながら続けています。
心臓ピクニックセット。白い立方体が心臓ボックス。
聴診器を胸にあて、心臓ボックスを手のひらに載せて、鼓動を感じる。
ワークショップでは、他の人の心臓にも触れさせてもらう。
本当にピクニックへ。坂を上ったり縄跳びをしたり、または自然のなかでくつろいで、心臓の変化を確かめる。
これまでのワークショップ
2010年10月15~17日「佐藤雅彦ディレクション“これも自分と認めざるをえない”展」関連プログラム、21_21 DESIGN SIGHT、東京(各回8名、9回実施)
2011年11月3、4日「脳の中の『わたし』と情報の中の<私>―五感を揺るがす摩訶不思議なメディア技術―」大阪大学総合学術博物館、大阪(各回12名、6回実施)
2013年9月8日「岐阜おおがきビエンナーレ2013」情報科学芸術大学院大学IAMAS、岐阜
体験型展示
2011年9月1~7日「Ars Electronica Cyber Art Exhibition」OK center Linz, Austria.
2011年12月10~18日「Poetry of Motion Ars Electronica Exhibition」BREEZE BREEZE 大阪
論文など
渡邊淳司、川口ゆい、坂倉杏介、安藤英由樹「『心臓ピクニック』:鼓動に触れるワークショップ」日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol. 16, No. 3、303-306頁、2011年。
坂倉杏介、渡邊淳司、川口ゆい、安藤英由樹「『生命』のシンボル・グラウンディング 鼓動に触れるワークショップ『心臓ピクニック』の評価と展開」アートミーツケア Vol.4、20-29頁、2012年。